自己注射

関節リウマチの患者さんの中には、飲み薬だけでは病気を抑えきれず、生物学的製剤(バイオ)の注射を自分で打って治療している方がいます。
ある病院でエンブレルという注射で治療されてきた方が、当院にいらっしゃいました。

エンブレルは2005年3月バイアルタイプが発売されました。ビンに入っている粉薬を注射液で溶かして使う注射薬です。
3年後の2008年6月シリンジタイプが発売。これは、注射シリンジにすでに注射薬が入っているもので、患者さんには使いやすくなったと好評でした。
さらにその5年後の2013年6月ペンタイプが発売されました。このタイプはシリンジと違い針を直接見ないですみます。また注射液を自分で押し込む必要はなく、注射ボタンを押すだけでその後は自動的に液が注入されます。患者さんには、さらに好評でした。

いらっしゃった方はシリンジタイプを使われていたので、「ペンタイプはお嫌いですか?」とお聞きしたら、「ペンタイプを知りませんでした。使ってみたいです。」とおっしゃられたのでペンタイプを処方しました。
次の診察の時、「ペンタイプをおなかに打つのは大変です。太ももには打ちやすいですが・・・」

ペンタイプは先端部の青い部分を十分に押し込まないと、安全ロックが解除されず注射ボタンを押せません。おなかは脂肪があるためペン先全体が隠れてしまい、先端の青い部分を押し当てにくくロックを解除しにくいとおっしゃるのです。

  

そこで、Eベースという補助具をお渡ししました。
先端部に大きい平たいキャップをかぶせるもので、おなかに接する円形部分が広くなるので、ペン先がおなかにめりこまず、先端部の青い部分を押し当てやすくなります。

「補助具を使えばおなかにも簡単に打てますね」と、ペンタイプを続けることになりました。

ペンタイプが発売された後は、エンブレルを初めて使う方には当然のようにペンタイプを処方してきましたが、シリンジタイプにすでに慣れた方にはシリンジの方が使いやすい面もあるのだと、初めて気付きました。