スパイロメーターとNO測定器

先月から、スパイロメーターNO測定器で検査を始めました。

スパイロメーターは肺の容積や、空気を出し入れする換気機能を調べる機器です。

まず息を吸い込み、次に力いっぱい吐きます。これにより肺活量(努力性肺活量)、1秒率(最初の1秒間で吐き出した空気の割合)などを測定します。
%肺活量が80%未満の場合は、肺結核や肺線維症など、肺の空気を入れる容量が少なくなる拘束性肺機能障害が考えられます。
1 秒率が70%未満の場合は、気管支喘息、気管支拡張症など、空気の通り道が狭くなる閉塞性肺機能障害が疑われます。

 

NO測定器は、呼気一酸化窒素(NO)濃度測定器 NINOX VERO を導入しました。

最大限息を吸い込み、一定の速度で10秒間息を吐く検査です。
喘息の方の気道には炎症があり、炎症性刺激により、主に気道上皮のNO合成酵素(INOS)が誘導され、大量のNOが産生されています。
そのため呼気中NO濃度を測定することで好酸球性気道炎症の存在や程度を知ることができます。
未治療の喘息では一般に高値を示します。
吸入ステロイド薬などの抗炎症薬の治療により低値となるため、気道炎症の評価において有用です。

日本人の成人健常者における呼気NO濃度の正常値は約15ppbで、22ppb以上ならば、喘息の可能性が高く、37ppb以上であれば、ほぼ確実に喘息と診断できるとされています。
検査後約1分で結果が出るため診断や治療にすぐに役立てることができます。

診療にとても役立つ機器で、ぜひ導入したいと考えていました。
しかし実際に患者さんに検査をしてみると、一定の速度で10秒間息を吐くということが、難しいのだと分かりました。1回でうまく検査できる方は少なく、5~6回検査し直す方もいます。
なるべく少ない回数で検査ができるよう、上手なお声がけの方法を検討中です。